【作品情報】
原作 西尾維新
総監督新房昭之
シリーズ構成東冨耶子
新房昭之
キャラクターデザイン渡辺明夫
音楽神前暁 ほか
アニメーション制作シャフト
話数全26話
放送年2013年夏(2013年7月~12月)
キャスト阿良々木暦 - 神谷浩史
戦場ヶ原ひたぎ - 斎藤千和
忍野忍 - 坂本真綾
貝木泥舟 - 三木眞一郎
羽川翼 - 堀江由衣
千石撫子 - 花澤香菜
八九寺真宵 - 加藤英美里
神原駿河 - 沢城みゆき
阿良々木火憐 - 喜多村英梨
阿良々木月火 - 井口裕香
忍野メメ - 櫻井孝宏
製作アニプレックス
講談社
シャフト



【PV】




【あらすじ】
とある田舎町の男子高校生・阿良々木暦は、街に現れた瀕死の女吸血鬼を助けたことがきっかけで、吸血鬼もどきの人間となってしまう。
女吸血鬼はその力を封じられたものの、「怪異の王」たる吸血鬼の出現はこの街の霊的エネルギーを乱し、様々な怪異の類が出没するようになる。
暦はそうした怪異に憑かれた少女と出会い、彼女たちを助けるうちに人間的に成長していく。



【レビュー】(未視聴の方向け)
この『物語シリーズ』も、最初の『化物語』が放送されたのが2009年であることを考えれば、だいぶ息の長い作品になりました。
その時例えば中学だったガキは、現在大学を卒業するかもしれない、大人になり切れない人間に、成長していることを考えると、自分がこの『化物語』を知ったのが大学生ですから、そりゃあ歳を取るわけだと考えてしまいます。
それはともかく、この『セカンドシーズン』は、2013年に録画していたもので、2017年が終わるこの時期にようやくすべて見終えることができました。
自分は既に大学時代に、大学の図書館においてあった『物語シリーズ』の原作を読んでいたので、多少放送されるエピソードの時系列がずれていたとしても、全く、いや、少々、あれこれってどんなやり取りを原作ではしていたんだっけかと一考することはあったけれども、特に混乱することもなくすべてを見終えることができたわけですが、もし仮に自分がこの『物語シリーズ』を原作を読まずに、アニメを最初に観てしまったとしたら、全くこの物語を理解することができず、そして理解しようともせず、終わりにしていたことでしょう。
まあ、何がいいたいかというと、文字通り、『物語シリーズ』のアニメは行間を読む必要があります。
できれば、アニメを見る前に、原作でどんなやり取りが行われているのかを確認したほうがよいと考えます。
それを踏まえたうえで、続きは視聴した感想になります(ネタバレを含みます)。

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【感想】(ネタバレ含む)

『物語シリーズ』は、阿良々木暦の高校生活最後の1年間の話です。
詳しくは、公式のページがわかりやすいと思います。
文字通り、時系列に並べると、次の通り。

猫物語(黒) 4月
化物語 5月~6月
偽物語 7月~8月
傾物語 8月20日~21日
鬼物語 8月21日~23日
終物語 8月23日~24日(しのぶメイル)
猫物語(白) 8月21日~24日
終物語 10月
囮物語 10月末
恋物語 1月
憑物語 2月
花物語 翌年4月
暦物語 1年間

今回の『<物語>シリーズ セカンドシーズン』は、色が変わっているところのお話です。


[各話リスト]
 1 つばさタイガー 其ノ壹
 2 つばさタイガー 其ノ貳
 3 つばさタイガー 其ノ參
 4 つばさタイガー 其ノ肆
 5 つばさタイガー 其ノ伍
 6 総集篇I
 7 まよいキョンシー 其ノ壹
 8 まよいキョンシー 其ノ貳
 9 まよいキョンシー 其ノ參
10 まよいキョンシー 其ノ肆
11 総集篇II
12 なでこメドゥーサ 其ノ壹
13 なでこメドゥーサ 其ノ貳
14 なでこメドゥーサ 其ノ參
15 なでこメドゥーサ 其ノ肆
16 総集篇III
17 しのぶタイム 其ノ壹
18 しのぶタイム 其ノ貳
19 しのぶタイム 其ノ參
20 しのぶタイム 其ノ肆
21 ひたぎエンド 其ノ壹
22 ひたぎエンド 其ノ貳
23 ひたぎエンド 其ノ參
24 ひたぎエンド 其ノ肆
25 ひたぎエンド 其ノ伍
26 ひたぎエンド 其ノ陸


[全体的な感想

☆つばさタイガー
嫉妬の炎で、羽川さんの家が燃えるお話でした。
『猫物語・黒』では、「死んじゃえ」って見開きに書かれているのをみて、強烈に自分の印象に残った羽川さんですが、何でも知っている羽川さんでも、自分の心はわからなかったのでしょうか。

☆まよいキョンシー
過去にタイムスリップして、八九寺を救ったら、世界が滅んでいたというお話でした。
しかし、八九寺が生きている世界の、成長した八九寺は、かなりグラマラスなお姉さんでした。
あれ、八九寺さん、最高じゃん。

☆なでこメドゥーサ
たまたまかわいいだけの女の子が、神様になるお話でした。
『化物語』の頃は、ただただかわいい女の子だと思っていましたが、今ではこの子が心底気持ち悪いと感じます。
いつまでも被害者面している、かわいいというより、かわいそうな女の子になってしまいました。

☆しのぶタイム
訳のわからない「くらやみ」と、八九寺が成仏するお話でした。
だいぶ寂しいお話でした。いつまでも八九寺には、迷い牛であってほしかったと感じます。
原作読んだときに、この展開は知っていたので、泣きはしませんでしたが。

☆ひたぎエンド
詐欺師・貝木泥舟が主役の、これは真実なのだろうかと疑いながら観るお話でした。
このエピソードが、物語シリーズで結構好きです。
この貝木の名言は、適当なことを言っているようで、案外的を得ています。
『偽物語』を原作で読んだ時にも思ったのですが、この物語シリーズの中で、心に残っているセリフは、たいてい「大人」であるところのゴーストバスターのセリフです。
特に、自分が『恋物語』で好きな貝木のセリフは、やはり26話の時の以下です。
三木さんの演技も相まって、非常に引き込まれました。

「俺は金が好きだ。なぜかといえば、金は全ての代わりになるからだ。
 物も買える。命も買える。人も買える。心も買える。幸せも買える。夢も買える。
 とても大切なもので、そしてそのうえで、かけがえのないものではないから好きだ。
 逆に言うと俺はな、かけがえのないものが嫌いだ。
 これがなきゃ生きていけないとか、あれだけが生きる理由だとか。
 それこそが自分の生まれてきた目的だとか、そういう希少価値に腹が立って仕方がない。」

大切なものは、かけがえのないものと、同義だと思っていましたが、お金は、大切なものですが、かけがえのないものかといわれるとそうでもないものです。
お金があれば、いろいろなものが買えます。
よく、お金では人の心は買えないとか言いますけど、それは大人になると大体察しますが、買えますよね、人の心って。
お金がなければ、幸せや夢を買うことはできません。
お金があることで、いろいろなものを見ることができる、それはつまり、視野を広げることができるともいえます。
一方、かけがえのないものにとらわれること、つまり一つのことに固執することは、危険なのかもしれません。
お酒を飲むことだけが生きがいの人間が、身体を壊して、お酒が飲めなくなってしまって、自分はもうおしまいだと自殺することも、お酒を飲むことがその人にとってかけがえのないものだったから、自殺という結論に至るわけです。
そう考えれば、やはり人間の生き方として、生きがいというものを決めてそれしか見ないようにするのではなく、お金などかけがえのないとはいえないものを使いつつ、視野を広く持つことが大事なのでしょう。
貝木の人生哲学というか、行動原理が現れています。
自分も貝木の言葉をもう一度原作を読みながら、あれこれ考察したいものです。